過去の延滞や債務整理で、銀行や信販会社のローンに通らなかった。そんなときの選択肢として名前が挙がるのが自社ローンです。販売店が自分で代金を分割で受け取る仕組みで、店によっては信用情報を見ずに独自の基準で審査します。
ただし、「審査なし」「誰でも買える」「金利0%でお得」といった宣伝を、そのまま受け取るのは危険です。実際には、保証人やGPSの取り付けが条件だったり、金利の代わりに数十万円の手数料がかかったりします。この記事では、自社ローンの法律上の仕組みと、主な取扱店の条件を、各社の公式サイトと法令(e-Gov)の記載だけをもとに整理しました(2026年9月確認)。
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結論|自社ローンを選ぶ前に確認したい4つのこと
- 支払総額と手数料:「金利0%」でも、分割事務手数料や利用料がかかる店があります。現金価格と、分割にしたときの総額の差を必ず確認しましょう。
- 保証人・頭金・GPSの条件:保証人が必要な店、頭金の目安がある店、GPSを付ければ保証人が不要になる店など、条件はさまざまです。
- 完済までは車が自分のものにならない:主な取扱店は、支払いが終わるまで所有権を店に残す(所有権留保)としています。
- 店が今も営業しているか:以前よく紹介されていた店の中には、すでに破産を申請した店もあります。
自社ローンの仕組み|法律上は「割賦販売」
自社ローンは、名前こそ「ローン」ですが、お金を借りる契約ではありません。販売店が車を売り、その代金を分割で受け取る「割賦販売」です。割賦販売法は、割賦販売を「代金を…二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領することを条件として指定商品…を販売」するものと定めていて、自動車は指定商品に入っています。信販会社が代金を立て替える一般的なオートローン(個別信用購入あっせん)とは、法律上の区分が違います。
| 自社ローン(割賦販売) | 信販会社のオートローン | 銀行のマイカーローン | |
|---|---|---|---|
| お金を出すのは | 販売店自身 | 信販会社(販売店に立て替え払い) | 銀行(本人に融資) |
| 審査するのは | 販売店(独自の基準) | 信販会社 | 銀行・保証会社 |
| 車の所有権 | 完済まで販売店に留保されると推定(割賦販売法第7条) | 完済まで信販会社などに留保されることが多い | 購入者 |
割賦販売法では、販売店に次のような義務があります。
- 条件の表示(第3条):現金販売価格、割賦販売価格、支払期間と回数、割賦販売の手数料の料率を示す。手数料の料率は年利建てで示し、手数料には金利・事務管理費など名目を問わず割賦販売にかかる手数料の総額が含まれます(施行規則)。
- 書面の交付(第4条):契約後すぐに、割賦販売価格・支払いの時期と方法・所有権の移転に関する定めなどを書いた書面を渡す。
- 支払いが遅れたときのルール(第5条):20日以上の期間を定めて書面で支払いを催告したあとでなければ、契約を解除したり残金を一括で請求したりできない。
- 支払能力を超える販売の防止(第38条):信用情報機関を利用することなどで得た正確な信用情報にもとづき、支払能力を超える割賦販売をしないよう努める(努力義務)。
つまり、「自社ローンは法律上、信用情報を見ない仕組み」というわけではありません。信用情報を見るかどうかは、各店の方針です。また、金融庁のQ&Aでは、自動車ローンは総量規制(年収の3分の1まで)の適用除外で、ショッピングには貸金業法ではなく割賦販売法が適用されるとされています。「普通のオートローンは総量規制の対象だから通らない」という説明は、金融庁の説明と合いません。
主な自社ローン取扱店の条件【公式サイトの記載】
| 店 | 審査・信用情報(公式の表現) | 保証人・頭金 | 支払回数 | 手数料の公式表示 |
|---|---|---|---|---|
| げんき自動車(青森) | 「既存の信用情報にとらわれない弊社独自の基準」 | 頭金・保証金・連帯保証人は不要 | 最長84回 | 金利の数字は未確認 |
| オトロン(旧くるまのミツクニ) | 自社審査で、他社の支払状況などを「閲覧することはありません」 | 頭金は総額の1割程度が目安。自社ローンプランは保証人が必要(GPSプランは不要) | 最大48回(GPSプランは通常36回) | 「実質年率は0%」としつつ、分割事務手数料・利用料などが別途かかる |
| カーライフ(カーライフグループ) | 「審査も無く」と公式に記載 | 購入の流れのページに「保証人様 2名」(条件により1名) | 12〜84回(ページにより記載が異なる) | 「金利はいただいておりません」としつつ「割賦手数料は含まれています」 |
| セカンドチャンス(横浜本店ほか) | 自社審査で、他社の支払状況などを「閲覧することはありません」 | 頭金0円も相談可。審査の結果、保証人を求める場合あり | 掲載例は30回 | 公式に記載なし |
げんき自動車(げんき自動車株式会社・青森県青森市)
2015年設立の、青森の中古車販売店です(青森本店・五所川原店)。公式サイトには「既存の信用情報にとらわれない弊社独自の基準で審査を行いますので、他社でローンが通らなかった方、過去に債務整理や自己破産をした方、アルバイトやパートで生計を立てている方など、どのような方でもローンを通せる可能性があります」とあります。頭金・保証金・連帯保証人はいずれも不要と明記されています。仮審査はWebで5分ほどで申し込めて、基本的に当日中に回答があります。支払いは最長84回です。なお、仮審査フォームの同意条項には、加盟する個人信用情報機関に個人データを提供することがあると書かれています。「信用情報を一切見ない」わけではない点に注意してください。
審査基準の詳細はげんき自動車の自社ローン審査基準、注意点はげんき自動車の自社ローンのデメリットで紹介しています。
オトロン(オトロンカーズ株式会社・旧くるまのミツクニ)
2021年2月に屋号を「くるまのミツクニ」から「オトロン」に変えた、自社ローン専門の中古車販売店です。2024年7月からは、株式会社オートバックスセブンの連結子会社になっています。公式の店舗一覧では、東京・神奈川・千葉・埼玉・東北・中部などに21店舗あります。「くるまのミツクニ」と「オトロン」は同じ会社なので、別の店として比べないようにしてください。
FAQでは「実質年率は0%です。(※別途分割事務手数料等諸費用あり)」としています。プラン比較のページによると、手数料は次のとおりです。
| プラン | 公式の手数料 | 公式の例 |
|---|---|---|
| 自社ローンプラン(保証人あり) | 分割事務手数料 月あたり4,950円(税込)+自社ローン利用料88,000円(税込) | 24回:206,800円/36回:266,200円/48回:325,600円 |
| GPSプラン(保証人なし) | 上記に加え、GPS装置88,000円・取付22,000円・通信管理費 月あたり3,300円 | 24回:396,000円/36回:495,000円 |
GPSプランでは、完済まで車にGPSを取り付けます。公式サイトは、GPS装置について「遠隔でクルマのエンジンが起動しないようにし、支払いを促すことができる」と説明しています。審査と契約には来店が必要です。自社ローンプランは、出店している都道府県を中心に販売しています。
カーライフ(カーライフグループ株式会社)
福岡県に本社を置く自社ローンの中古車販売店で、TOKYO店(千葉県八千代市)・大阪店(堺市美原区)・福岡店があります。公式サイトで「審査も無く」と明言しているのは、今回調べた中ではこの店だけです。ただし、購入の流れのページには「保証人様 2名付けていただきます」(車両価格や契約内容によっては1名の場合も)と書かれています。「審査なし=誰でも買える」ではありません。FAQでは「金利はいただいておりません」としつつ、「お支払金額に割賦手数料は含まれています」とも書いています。全国に納車していて、支払いが終わるまでは店が所有権を留保します。
セカンドチャンス(株式会社ジャパンマーケティングカンパニー)
横浜市に本社を置く、自社ローンの中古車販売のフランチャイズです。横浜本店・岡山直営店のほか、加盟店があります。FAQでは「自社審査になりますので、過去のカードトラブルや他社の支払状況を閲覧することはありません」と答えています。一方で、審査の結果、保証人が必要なのに保証人がいない場合などは断ることもあるとしています。手数料や金利の記載は、公式サイトでは見つかりませんでした。在庫ページの「月々5,000円〜」は参考価格なので、見積もりでは総額と手数料の料率を必ず確認してください。
【注意】プラウドは2026年5月に破産を申請
静岡県三島市の株式会社プラウドは、自社ローン対応の店として紹介されることがありました。しかし、帝国データバンクの倒産速報によると、2026年5月8日に静岡地裁沼津支部へ破産を申請しています。公式サイトのローン案内のページは今も表示されますが、新たに利用することはできないと考えてください。
自社ローンのメリットとデメリット
| メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
| 信用情報に事故の記録があっても、店の基準で判断してもらえる可能性がある | 金利の代わりに手数料がかかる。店によっては総額がかなり増える |
| 仮審査の回答が早い店が多い(げんき自動車は基本的に当日中) | 中古車が中心で、選べる車が限られる |
| 頭金や保証人が不要の店もある | 保証人・頭金・GPSが条件の店もある |
| — | 完済まで所有権は店に残る。支払いが滞れば車を引き揚げられることもある |
申し込む前のチェックリスト
- 現金販売価格と支払総額の両方を書面でもらう(割賦販売法で表示が義務づけられている項目)。
- 手数料の料率(年利建て)を確認する。「金利0%」だけで判断しない。
- 保証人・頭金・GPSの有無と、その費用を確認する。
- 支払いが遅れたときの扱い(催告・契約解除・車の引き揚げ)と、所有権がいつ移るかを確認する。
- 車の状態と保証を確認する。中古車は品質やキャンセル料のトラブルもあるので、国民生活センターの中古車の相談事例も参考になる。
- 店が営業中か、会社の所在地はどこかを公式サイトで確認する。
銀行や信販会社のローンにもう一度挑戦できるかは、自分の信用情報を開示すれば分かります(CICのインターネット開示は500円)。手順は自動車ローン審査に通るコツで、カーリースも含めて検討したい方は審査が不安な人向けのカーリース5社比較とカーリースと自社ローンどっちがいい?で解説しています。
よくある質問
Q1. 自社ローンは本当に審査なしですか?
ほとんどの店に、独自の審査があります。今回調べた中で「審査も無く」と明言していたのはカーライフだけでした。そのカーライフも、保証人2名(条件により1名)を求めています。オトロンやセカンドチャンスは、他社の支払状況などを閲覧しない独自の審査をしていると書いています。
Q2. ブラック(金融事故の記録あり)でも買えますか?
店の基準で判断してもらえる可能性はあります。げんき自動車は「過去に債務整理や自己破産をした方…でもローンを通せる可能性があります」と書いています。ただし、どの店も通過を保証していません。収入がない場合や、身元を証明できない場合などは断ると書いている店もあります。
Q3. 金利0%なら、普通のローンより得ですか?
一概には言えません。たとえばオトロンは「実質年率は0%」としつつ、自社ローンプランで24回なら206,800円、GPSプランの24回なら396,000円の手数料を公式に示しています。割賦販売法では、名目にかかわらず、割賦販売にかかる手数料の総額を料率で示すよう定めています。見積もりでは、現金価格との差額で比べましょう。
Q4. 「くるまのミツクニ」と「オトロン」はどちらがいいですか?
同じ会社です。2021年2月に屋号が「くるまのミツクニ」から「オトロン」に変わり、2022年7月には会社名もオトロンカーズ株式会社になりました。
Q5. 支払いが遅れたらすぐに車を取り上げられますか?
割賦販売法第5条では、販売店は20日以上の期間を定めて書面で支払いを催告したあとでなければ、契約を解除したり残金を一括で請求したりできないとされています。ただし、完済までは所有権が販売店に残るので、最終的には車を引き揚げられる可能性があります。GPSプランでは、遠隔でエンジンがかからないようにできると公式に説明している店もあります。支払いが難しくなりそうなときは、早めに販売店に相談しましょう。
まとめ|「審査の通りやすさ」より「総額と条件」で選ぶ
- 自社ローンは法律上、販売店による割賦販売。信用情報を見るかどうかは店の方針で、法律上は信用情報を使うよう努める義務がある。
- 「審査なし」「金利0%」でも、保証人・頭金・GPSや手数料などの条件がある。
- 頭金・保証人が不要と明記しているのはげんき自動車。オトロン(旧くるまのミツクニ)は手数料を公式に示している。プラウドは破産を申請済み。
- 現金価格・支払総額・手数料率・所有権の移転時期を、必ず書面で確認する。
※2026年9月28日時点の各社公式サイト(げんき自動車、オトロン・オトロンカーズ企業サイト、カーライフグループ、セカンドチャンス)、e-Gov法令検索(割賦販売法・同施行令・同施行規則、貸金業法)、金融庁「貸金業法Q&A」、帝国データバンク倒産速報にもとづきます。条件は変わることがあるので、契約前に各店の最新の条件を書面で確認してください。審査の結果を保証するものではありません。


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