「そろそろ廃車かな」と思うタイミングは人それぞれですが、修理見積もりが車の価値を超えた、13年を超えて税金が上がった、車検が近いのに乗る予定がない——このあたりで迷う人が大半です。そして意外に知られていないのが、廃車は「捨てる」だけでなく、抹消登録の種類によって戻ってくるお金(税金・保険)が変わるということです。
この記事では、廃車を判断する5つのタイミング、修理・売却・廃車の損得の考え方、一時抹消と永久抹消の違い、廃車で戻ってくるお金(自動車税・重量税・自賠責)と手続きを、国土交通省・国税庁・JAFの公式情報にもとづいて整理しました。当サイトを運営する株式会社Autodesign Cougar(神奈川県厚木市)はトラックの架装修理・整備から始まった会社で、「直すか、手放すか」の相談は日常的に受けています。整備側の本音も交えて解説します。

結論|廃車を考える5つのタイミング
- 修理費が「車の売却価値+乗り続ける期間の価値」を超えたとき——エンジン・ミッション・エアコンの大物故障が典型
- 新車登録から13年を超えたとき——自動車税(種別割)がおおむね15%(軽は20%)、重量税も引き上げられる
- 車検が近く、次の2年に乗る予定がはっきりしないとき——車検費用を払ってから乗らないのが一番の無駄
- 事故や水没で修復歴が付き、安全性に不安が残るとき——直しても売却価値は大きく落ちる
- 使用頻度が極端に減り、維持費(税金・保険・駐車場)が割に合わなくなったとき
ただし「廃車」の前に、買取業者に査定してもらうのが鉄則です。動かない車や事故車でも、部品取りや輸出向けに値段が付くことが多く、解体費用を払って処分するより手取りが増えます。廃車費用をかけて処分するのは、査定してもらっても値段が付かなかった場合の最後の手段と考えてください。
修理する?売る?廃車?損得の考え方
整備の現場で使っている判断の目安は、「修理費 ÷ その修理であと何年乗れるか」を年あたりに直して、乗り換えた場合の年間コストと比べることです。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 修理費20万円で、あと3年は問題なく乗れそう | 年約7万円。中古車に乗り換える年間コスト(車両代の減価+諸費用)より安ければ修理が得 |
| 修理費40万円で、他の部品も次々に寿命(13年超・15万km超) | 直しても別の故障が続く可能性が高い。売却か廃車を検討 |
| 修理費が車の買取相場を上回る | 基本は手放す。ただし「愛着がある」「代替の車が高い」なら修理も合理的 |
| 車検直前に大物故障 | 車検費用+修理費の合計で判断。次の車検までの2年で元が取れるか |
整備側の本音を言うと、13年を超えた車でも、オイル交換と消耗品交換をきちんとしてきた個体は驚くほど長持ちします。逆に、走行距離が少なくても放置気味だった車は、13年を境にゴム部品・電装品の故障が連鎖しやすい。年式だけでなく「これまでの整備履歴」で判断するのが実際的です。
13年超で税金はいくら上がる?
JAFの解説によると、自動車税(種別割)はガソリン車・LPG車で新車登録から13年超(ディーゼル車は11年超)でおおむね15%、軽自動車税(種別割)は13年超でおおむね20%引き上げられます。例えば1,000cc以下の自家用乗用車(2019年9月30日以前登録)は29,500円→33,900円、2,500cc超3,000cc以下は51,000円→58,600円です。電気自動車・燃料電池車・ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車などは重課の対象外です。
自動車重量税も、13年超と18年超の2段階で引き上げられます(自家用乗用車で0.5tあたり年4,100円→13年超5,700円→18年超6,300円)。1.5t車の車検2年分なら24,600円→34,200円→37,800円です。13年超で年間の税負担は普通車で1万〜2万円程度増える計算で、これ自体は決定的な額ではありませんが、修理費が重なり始める時期と一致するため「買い替えの検討タイミング」として機能しています。税額の詳細は自動車税の仕組みと税額表と自動車重量税の解説を参照してください。
「一時抹消」と「永久抹消」の違い
廃車の手続きは正式には「抹消登録」といい、国土交通省の分類では主に2種類です。
| 一時抹消登録 | 永久抹消登録 | |
|---|---|---|
| どんなとき | 車の使用を一時的に中止する(長期間乗らない、海外赴任、売却先未定など) | 車をリサイクル事業者に引き渡し、解体処分した |
| 車はどうなる | 残る。再登録(中古新規登録)すればまた乗れる | 解体済み。二度と登録できない |
| 主な必要書類(登録車) | 申請書(第3号様式の2)、手数料納付書、印鑑証明書(3ヶ月以内)、車検証、ナンバープレート、委任状(代理時) | 申請書(第3号様式の3)、印鑑証明書(3ヶ月以内)、車検証、ナンバープレート、解体を証明する情報(移動報告番号・解体日) |
| 手数料 | 窓口500円 / OSS 450円(2026年4月改定後) | 無料(国土交通省ポータル記載) |
| 自動車税の還付 | あり(翌月以降の月割) | あり(翌月以降の月割) |
| 重量税の還付 | なし(解体が条件) | あり(車検残存期間分) |
「乗らないけれど車は手元に残したい」「売却先が決まるまで税金を止めたい」なら一時抹消、「解体して処分する」なら永久抹消です。一時抹消の後に解体した場合は「解体届出」を出すことで、永久抹消と同様に重量税の還付対象になります。一時抹消からの再登録の手続きは中古新規登録の必要書類と流れで解説しています。
廃車で戻ってくるお金
1. 自動車税(種別割)の還付
普通車は、年度の途中で抹消登録(一時・永久とも)すると、抹消した月の翌月から3月までの月割分が還付されます。例えば年税額36,000円の車を9月に抹消すると、10月〜3月の6ヶ月分=18,000円が戻ります。一方、軽自動車税(種別割)には月割還付の制度がなく、軽自動車を廃車にしても還付はありません。軽は4月1日直前に廃車するのが最も損が少ないタイミングです。
2. 自動車重量税の還付(解体した場合のみ)
国税庁の「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」により、自動車リサイクル法にもとづいて適正に解体され、解体を事由とする永久抹消登録(または解体届出)と同時に還付申請をした場合、車検の残存期間に対応する重量税が戻ります。計算式は「納付した重量税額 × 車検残存期間 ÷ 車検有効期間」で、残存期間は1ヶ月未満を切り捨て、1ヶ月以上ある場合に対象になります。例えば2年分24,600円を納付した車を、車検の残り12ヶ月で解体すれば約12,300円が還付されます。一時抹消だけでは還付されない点に注意してください。
3. 自賠責保険の解約返戻金
抹消登録を済ませたあと、保険会社で自賠責保険を解約すると、残り期間に応じた返戻金を受け取れます。手続きには自賠責保険証明書のほか、抹消登録を証明する書類(登録識別情報等通知書、一時抹消登録証明書、登録事項等証明書など)が必要で、「廃車→解約」の順番でしか進められません。返戻額は残り月数と保険会社の計算によるため、加入している保険会社に確認してください。残り期間が1ヶ月未満だと返戻はありません。
4. 任意保険の解約・中断証明書
任意保険は解約すれば未経過分が返戻されます。それより重要なのが「中断証明書」で、これを取っておくと、廃車後10年以内に車を買ったときに現在の等級を引き継げます。等級を捨てると保険料が大きく上がるので、廃車時には必ず保険会社に中断証明書の発行を依頼してください。等級の仕組みは自動車保険の等級制度で解説しています。
リサイクル料金は「戻らない」お金
新車購入時に預託したリサイクル料金(普通車で1万〜1.8万円程度、軽・小型で7,000〜1.6万円程度が目安)は、解体時にシュレッダーダストやエアバッグ、フロン類の処理費用に充てられるもので、廃車時に戻ってくるものではありません。ただし、廃車ではなく中古車として売却する場合は、次の所有者が負担する形でリサイクル料金相当額が買取額に上乗せ(または別途精算)されます。買取業者の見積もりで「リサイクル預託金」の扱いがどうなっているか確認してください。
廃車の進め方【手順と費用】
- まず買取査定: 廃車買取専門業者・一般の買取業者の両方に査定を依頼。不動車でも出張引取に対応する業者が多い
- 値段が付いた場合: 業者に売却。抹消登録や還付手続きも業者が代行することが多い(委任状・印鑑証明書を渡す)
- 値段が付かない場合: 解体業者(自動車リサイクル法の引取業者)に引き渡し。引取手数料は無料〜数万円で、レッカー代が別途かかることもある
- 抹消登録: 解体後、業者から「移動報告番号」と「解体報告記録日」の連絡を受け、運輸支局で永久抹消登録(手数料無料)。同時に重量税還付を申請
- 保険の手続き: 自賠責を解約、任意保険は中断証明書を取得
- 還付金の受け取り: 自動車税は都道府県から、重量税は申請から数ヶ月後に指定口座へ
自分で運輸支局に行く時間がない場合、買取・解体業者や行政書士に代行を依頼できます。その際は「還付金の受取人が誰になるか」を契約前に確認してください。業者によっては還付金を業者側の収入として買取額に含める運用もあります。
よくある質問
Q1. 廃車費用はいくらかかりますか?
永久抹消登録の手数料は無料です。解体業者の引取手数料とレッカー代が実質的な費用で、無料〜数万円が目安。ただし多くの車は買取業者で値段が付くため、まず査定を受けてください。
Q2. 車検が切れた車でも廃車できますか?
できます。抹消登録に車検の有効期間は関係ありません。ただし車検切れの車は公道を走れないので、業者のレッカーや積載車で引き取ってもらうか、仮ナンバーを取得して運びます。
Q3. ローンが残っている車は廃車にできますか?
車検証の所有者がローン会社・販売店になっている場合、所有者の同意(譲渡証明書や印鑑証明書)がないと抹消登録できません。残債を精算して所有権を解除するか、ローン会社に相談してください。
Q4. 廃車のベストな時期はいつですか?
普通車は自動車税が月割で還付されるので、時期による損は小さいです。軽自動車は還付がないため、4月1日の直前(3月中)に抹消すると翌年度の税金がかからず最も損が少なくなります。車検直前に廃車すれば車検費用も不要です。
Q5. 事故車・水没車でも買い取ってもらえますか?
部品取りや海外輸出の需要があるため、廃車買取専門業者なら値段が付くことが多いです。修復歴があると一般の中古車としての価値は下がりますが、ゼロ円や有料処分と決めつけずに複数社へ査定を依頼してください。
まとめ|「査定→抹消の種類→還付」の順で損を減らす
- 廃車の判断は「修理費÷あと乗れる年数」で乗り換えコストと比較。13年超は税金より故障の連鎖が本当の理由になりやすい
- 廃車の前に必ず買取査定。不動車・事故車でも値段が付くことが多い
- 一時抹消は車を残す手続き(手数料500円)、永久抹消は解体後の手続き(無料)。重量税の還付は解体が条件
- 自動車税は翌月から月割還付(軽は還付なし)。自賠責は抹消後に解約、任意保険は中断証明書を取る
- 代行を頼むときは還付金の受取人を確認する
本記事の手続き・還付制度は2026年9月時点の国土交通省 自動車検査登録ポータル、国税庁の廃車還付制度の案内、JAFの税制解説にもとづいています。自治体や年度により運用が異なる場合があるため、手続き前に管轄の運輸支局・都道府県税事務所・保険会社の最新案内をご確認ください。

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